週末もセータによる時間的価値の減少は進む?

はい。オプションの価格モデルは、市場が閉まっている間も週末の時間経過を考慮します。セータは、ほかの入力値を固定したときに時間の経過が価値に及ぼす影響を見積もる指標であり、表示価格から定期的に差し引かれる金額ではありません。Options Industry Council(OIC)も、モデルには週末が含まれる一方、時間的価値の減少を各日にどう配分するかは、モデルによって異なると説明しています。

週末に価格が変わっていないように見える理由

「最終約定価格(Last)」と表示される価格は、以前に成立した取引の価格であり、最新の理論評価額ではありません。Fidelityによる最終約定価格の定義でも、この違いが示されています。表示の更新対象となる新たな約定がなければ、週末を通じて金曜日の価格が画面に残ることがあります。その表示が変わらないからといって、オプションのモデル価値も変わっていないとはいえません。

取引再開後に約定の可能性を判断するには、ビッド(買い気配)、アスク(売り気配)、気配数量が手がかりになります。最終約定価格も、ビッドとアスクの中値も、その価格での約定を保証しません。「評価価格(Mark)」という欄については、利用するプラットフォームで算出方法を確認してください。OICのビッド・アスク解説では売買執行時の注意点を、オプション・チェーンと気配値では各表示項目を説明しています。

以下の週末休場の例は、米国の標準的な株式オプションを対象としています。すべてのオプションが同じ取引時間に従うわけではありません。Cboeのグローバル取引時間には、一部の指数オプションを対象とした日曜夜の取引時間も含まれます。

金曜日から月曜日までのコール価格を再計算する

時間経過だけの影響を見るため、株価とインプライド・ボラティリティ(IV)を固定し、満期までの時間を短くして同じコールの価格を再計算します。株価が$100で、権利行使価格$100の標準的なコールを1契約買っているとします。1契約は100株に相当し、満期は例で扱う週末の翌週の金曜日、2026年10月9日です。年率換算のIVを25%、連続複利の年利を仮に4%とし、配当はないものとします。この例では一貫して、取引コスト、資金調達費用、税金を除外します。

計算ツールはアメリカン型のオプション・レッグをモデル化していますが、この前提では、このコールの価値はヨーロピアン型のブラック–ショールズ–マートン・モデルによる価値と一致します。計算方法では、価格の算出に残りの暦日数を整数単位で用い、365.25で割って年数に換算します。一方、1日あたりのセータの表示には、1年を365日として割る換算を使います。

日付(2026年)満期までの暦日数モデル価値(1株あたり)モデル価値(100株単位の1契約)1日あたりのセータ(1株あたり)
10月2日(金)7$1.418771$141.88-$0.104110
10月3日(土)6$1.310931$131.09-$0.112022
10月4日(日)5$1.194131$119.41-$0.122201
10月5日(月)4$1.065508$106.55-$0.135990

これは日付単位の評価であり、金曜日の取引終了時と月曜日の取引開始時という特定の時刻を比較したものではありません。実際に取引が途切れる時間は、ちょうど72時間ではありません。土曜日と日曜日の数値は理論価値であり、約定価格や実際に取引できる気配値ではありません。例の変化額はすべて、丸める前の値を使って計算しています。

モデル上の金曜日から月曜日への価値の変化は、購入したコール1契約で-$35.33です。一方、金曜日のセータを3倍し、100株分に換算すると、推定される変化額は-$31.23で、損失を約$4.09少なく見積もることになります。満期が近づくにつれて、このコールのセータはより大きなマイナスになります。開始時点のセータは、その時点の条件付近での変化を見積もるものであり、毎日一定額が減るという意味ではありません。

株価やIVも変わった場合

今度は、ほかの前提をそのままに、月曜日の株価またはIVを変えてみます。次の表では各行をそれぞれ再計算し、新たな新規建て時のプレミアムではなく、保存しておいた同じ金曜日のモデル価値と比較します。

月曜日の株価月曜日のIV月曜日のモデル価値(1契約)金曜日からの変化(1契約)
$10025%$106.55-$35.33
$10020%$85.69-$56.19
$10035%$148.28+$6.40
$10125%$165.22+$23.34

IVが20%の場合、時間だけが経過する場合よりもコールの価値は大きく下がります。35%なら、残存期間が短くなっても価値は上がります。株価が$101の行も、別の要因が時間経過の影響を上回る例です。これらの結果は、ボラティリティと株価がそれぞれ及ぼす影響を反映しています。オプション価格の決まり方では、各入力値が組み合わさって価格にどう作用するかを解説しています。

また、週末が来ることは前もってわかっています。OICは2026年6月の連休中のセータに関する解説で、予想される時間的価値の減少が、休場前の最後の取引時間帯にすでに織り込まれている場合があると述べています。つまり、暦日ベースの計算結果は、月曜日に同じだけの価格差が生じる保証ではなく、金曜日に売るだけで有利になることも意味しません。

計算ツールで日付を比較する

入力条件を固定して週末の影響を調べるには、分析日を金曜日、次に月曜日に設定し、「株価」グラフの同じ株価の地点で「ポジション」の値を比較します。「ポジション」は符号付きのオプション価値そのものを表示します。一方、「損益」は、今日を基準に算出した新規建て時の符号付きモデル価値を差し引くもので、表の金曜日の価値を差し引くわけではありません。分析日を変更するとグラフが変わりますが、新規建て時のプレミアムと概要に表示されるグリークスは、引き続き今日の日付を基準に計算されます。表のセータは、それぞれの日付について別途計算した値です。

インプライド・ボラティリティ、エントリー価格、または契約数量を編集すると、新規建て時の基準値が再計算されます。したがって、IVを変えた表の各行は、個別の評価結果を保存済みの金曜日の価値と比較したものであり、計算ツールが再計算した「損益」曲線の値ではありません。この計算ツールはリアルタイムの気配値を提供せず、実際の約定価格を入力して固定する機能もありません。過去の分析日は選択できません。例の日付が過ぎた後は、それより先の金曜日と月曜日の組み合わせ、およびより先の満期日を選んでください。満期までの残存期間が異なれば、算出される価値も異なります。こうした新規建て時の基準と日付の扱いは、計算方法で解説しています。

参考文献